怠惰
ごろごろごろごろごろ…
小説っぽいものをあげてみる↓(追記)(未完:続くかわからない)
帰り道、駅を降りて30分ほど歩くと大きな廃墟がある。
とても綺麗であったであろう御邸である。
シン…と物音ひとつないそこに、今日は赤い自転車がとまっていた。
俺がこの邸に初めて足を踏み入れたのは九つのころであった。
もうあの時から二十年ばかり時が流れている。
幼かった自分には恐ろしく、大きく見えたこの場所。
今では仕事帰り、金曜に足を運ぶのが日課になっていた。
(今まで、自分以外に人が出入りするところを見たことなんてなかったのに…
いつものように高い塀の隅にある低い門をよじ登って中に入った。
重い玄関の戸を開くと、緑のカーペットが夕陽で紺に見えた。
天井につってあるシャンデリアには女郎蜘蛛が巣くっている。
真っ赤で大きな扉を避けるように枝分かれする階段。
影になっている階段下に、やっと大人が一人はいるくらいの小さな窪みがある。
そこには錆びた金属製の取っ手があり地下室へ降りることが出来る。
いつものよう地下へ降りて読書でもしようと、そこから携帯のライトをつけ、顎ではさんで、梯子を下りて行った。
しかし、今日はどこか様子がおかしい。
一週間置きに訪れているので、ほこりが積もっていなければならない梯子に、明らかに自分のものより先についた手形や、スニーカーであろう靴跡が残されている。
疑問に思いながらも下まで降りていく、地下は大きな書庫である。
明かりのつかないことは承知しているので、梯子から降りると少し大きい懐中電灯をバックから取り出し、ともした。
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